少し遡って、1月の後半の美術館やギャラリー巡りのことを書きます。
上野は実はあまり行ったことがなく、去年国立近代美術館の高畑勲展に行ったのがおそらく何十年ぶりか(10年か20年か30年ぶりかも分からない^ ^; )の滞在になりました。そして今回、この後の日記に書こうと思いますが科学博物館に行った後、ハマスホイとデンマーク絵画展を見てきました。こちら↓が都立美術館左隣は上野動物園です。
静謐で暖かい絵画が多く、見ていて気持ちがとても落ち着きました。ハマスホイは北欧のフェルメールと評される画家らしく(今回初めて知りました)、室内に静かにさす光の中で家具、食器、そして住人を飾ることなく描いています。フェルメールやオランダ絵画に比べるとコントラストはそれほど強くないのですごくドラマチックというわけではなく、ふと午後によき友人の整えられた家に遊びに行った時のような素朴さと安堵感を感じます。
人を構図に入れた絵も多いのですが、開けっ放しのドアがいくつかあるだけの部屋など、人の気配を感じさせつつ人を描かないという絵もいくつかありました。解説の中でハマスホイが、人がいない家ほどその暮らしを感じるものはない(ちょっと違うかも、でもこんな表現)と言っていて、あぁなるほどと思いました。引っ越しの朝のような感覚です。
少し前に駅前の猫の話を書きましたが、その家が取り壊しになりあっという間に更地になりました。家(居酒屋)があるときには感じなかったけれど、更地は予想以上に小さかった。でもそこには明らかに大きな生活空間があって、私は知らないけれど主人とお客さんとのやりとりや家族との生活があって、最後には猫がいて通る人みんなにツンデレで、でもなつき始めてよくちょっかいを出されていた、小さいけど大きなドラマがあったと(勝手に)思いました。
上野ですっかり迷子になってしまい、外苑前からタクシーでギャラリーマヤへ。以前お世話になったイラストの塾の先生佐々木悟郎さんの個展に行きました。最終日の終了の20分前、ありがた迷惑な客です。
風景画、特に外国の風景を描いた絵にもう気分がすっかり上がってしまいました。繊細で郷愁感がありながらも、心が明るくなる。先生とも久しぶりにお話もできて間に合ってよかったです。
スマホのバッテリー切れのためギャラリーの写真は撮れず。購入した絵とエッセイの本「20の魅惑の小物たち」です。
その足で、Popularity(旧タンバリンギャラリー)へ。チカツタケオさんと瀬戸照さん、鍵元涼さんの3人展が開かれていてこれまた閉廊間際に滑り込みました。
チカツさんはイラストの塾にゲストでいらしたときに南仏エクスアンプロバンスの絵を描かれていて、恐る恐る聞いてみるとしばらく住んでいらっしゃったことが判明。私ももう20年前ですが半月間、午前に語学学校と午後に油絵アトリエに通ったことがあり、さらにそのアトリエの方とは親しいとのこと。というわけで勝手な親近感を持ち続けているのでした。
たくさんの装画を描かれているチカツさんですが、今回の展示は「干物」。静岡在住ですから干物は日常的によく見ますが、チカツさんの手にかかるとこんなに洗練されるものなんだなぁと驚きでした。
しかし上京して美術館やギャラリーを一日でぐるりと見て回るのはなかなか大変でした。でも今この状況を考えると、あのときにやはり行けてよかったと思わずにはいられません。
展覧会や音楽をゆっくり楽しむ、そんな日が早く訪れてほしいと願う毎日です。