小倉遊亀さんの展示(前半)に行ってきました。
今回パンフレットに使われている「姉妹」、しっかり者の姉、出来上がったものを無邪気な笑顔で抱えている妹と、それぞれの個性がしっかり表現されていてとても愛らしかった。特に人の絵に惹かれました。表情、仕草までほんとにいい。菩薩を描いても人のように親しみを感じました。
安田靫彦に弟子入りしながら教師として生計を立てて描き続けた小倉遊亀さん、女性画家としての変遷も感じながらの展示でした。戦後マティスなどに影響を受けて線がさらにラフで大胆になっていくのも挑戦的でよいけれど、個人的には構図のすっきりした素朴な子供や家族を描いたものがやっぱり好きかな。
買ってきた絵葉書の右側、富士山の麓を歩く牛の群れの一頭出遅れている牛は、自身を表現していると言われているそう。「誇示する必要はない」という言葉を残した遊亀、今の時代には流行らないと言われるだろうけど、「絵が伝えることを伝える」を真理としてひたすら描き続けたのだと思う。
備忘録で好きな作品をリストすると、「夏の客」「春日」「兄姉(きょうだい)」「シミを見つめる雪子」「桜」「青巒(せいらん)」「きゅうり」「あさがお」「つばき(絶筆))、など。
師匠の安田の観音菩薩、飛鳥の春の額田の王、速水御舟の洛北修学院村など先人・周辺の画家たちの作品も観れる今回の展示は5/1から後半の入れ替えで変わるようです。たのしみ。
展示は5/26まで。
静岡市美術館: http://www.shizubi.jp/exhibition/future_190406.php